『遠すぎた星』感想【ネタバレあり】
《ぼくは混乱しています》ジェレドはようやくいった。
キュリーはにっこり笑った。《そもそもすごく混乱するものなのよ》
《混乱しないよう手助けしてください》
《もちろん。でも、あまり長くだめ。あなたは遅れて生まれたの。いっしょに訓練する仲間たちはあなたより二日は先んじている。できるだけ早く追いつかないと、ずっと遅れを連れていくわ。あとはみんなが教えてくれるから。さあ、その培養槽から出ないと。考えるのと同じくらい上手に歩けるかどうか見てみましょう》
〈歩く〉という概念が展開し、ジェレドを培養槽に固定していた拘束具が解除された。ジェレドは手をついて体を前方へ押しだし、培養槽の外へ出た。片足が床についた。
《ひとりの人間にとっては小さな一歩》キュリーが言った。
ジェレドがおどろいたことに、そのフレーズから展開される情報は膨大だった。
『遠すぎた星』より
『遠すぎた星』読了
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緑色の若返り老人大活躍の『老人の宇宙』の続きです。
あの主人公がさらにまた出世する続編かと思ったら、あにはからんや、今度はゴースト部隊がメインの話でした。
前作では謎めいた集団だったゴースト部隊を、部隊独特の訓練を通して描いていくやり方には脱帽です。続き物なのに、こんなに新鮮に楽しめるとは!
はるかな未来の叙事詩
彼は彗星を父に、宇宙風を母に持ち、
惑星をまるで羽毛のようにもてあそび、
欲望を駆りたてるためだけにブラックホールと格闘するという。
彼は決して眠らず、両目は新星よりも明るく輝き、叫び声は山をも鳴らすという。
その名はサンティアゴ。
サンティアゴ冒頭より
前の日記の元ネタは『サンティエゴ』でした。
謎の超大物賞金首サンティアゴを巡る男と女達が奏でる群像劇にしてスペースオペラです。
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ネタの説明するのはどうかと思ったけど、やっぱりしないでは収まらんぜ!
俺の初レズニックですよ!
懐かしい。
これああまりに面白かたので、以降、集中的にレズニックを読んだものです。
キップル化する宇宙
「キップルって?」
「キップルってのは、ダイレクト・メールとか、からっぽのマッチ箱とか、ガムの包み紙とか、きのうの新聞とか、そういった役に立たないもののことさ。だれも見てないと、キップルはどんどん子供を産みはじめる。たとえば、きみの部屋になにかキップルを置きっぱなしで寝てごらん。あしたの朝目がさめると、そいつが倍にもふえているよ。ほっとくと、ぐんぐん大きくなっていく」
「そうなの」娘は信じたものかどうかと迷ったふうに、彼の顔色をうかがった。彼が本気かどうか疑っているらしい。
「キップルの第一法則というのがあるんだ。グレシャムの悪貨の法則だかとおんなじで、『キップルはキップルでないものを駆逐する』のさ。それにこのビルじゃ、だれもキップルと戦うものがいなかったんだ」
「そこで、完全にそれに占領されたってわけね」と、娘はあとをひきとった。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』より
スパムってのは、まったくもってキップルだよな!
いつも気をつけていないと、あっという間に占領されてしまう。
P・K・ディックの未来像は、ほんと的確だねぇ。
うんざりさせられる未来が主だけど。




