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アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)
(2008/02/05)
島本 和彦

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 島本和彦の『アオイホノオ』の面白さの一つは、焔燃とトン子さんの対話にある。

 もちろん対話を軸に話を進める形式自体は、一般的な技法である。先生役と生徒役の二人の対話によって進行する方式は、さまざまなメディアで目にしているだろう。対話形式は、わかりやすく物事を説明しながらストーリーを進めるのに、非常に有力な方法だと言える。しかし逆に言えば、先生役と生徒役の二人で進める方式があまりに有力であるため、対話形式は表現がありきたりのものに陥っているということでもある。生徒がバカっぽいけれども鋭い質問をし、先生がそれに答え、生徒がさきほどのバカっぽさとはうってかわって理解力を示すという問答を貴方も見たことがあるのではないだろうか。
 対話形式は便利であるが、この定型を離れオリジナリティを出そうとすると、とたんに難しくなる。話をわかりやすく説明しながらオリジナリティを出すとなると、さらに困難である。

 『アオイホノオ』はこの問題を見事にクリアしている。従来の対話形式では、先生役を上、生徒役を下とする上下関係におくのがお約束だった。『アオイホノオ』はここを逆転し、先生役を後輩である焔燃にし、生徒役をトン子先輩に割り振ることで、オリジナリティを出している。それだけでなく、燃はトン子先輩に異性として好きだが、トン子先輩は燃を異性としてより友人として好き(なように見える)という設定を付けている。

 この二つの設定により、燃のトン子先輩への説明は丁寧かつ、わかりやすい口調での説明となっている。熱血漢である燃に、勢いを抑えさせながら語らせることで、説明に迫力を加えることに成功している。
 生徒役を先輩にすることにより、生徒役からの質問や意見に、圧迫感と迫力が出ていることも見逃せない。一般的な対話形式では、先生役は余裕を持って説明をし、迷うことがない。しかし、燃はトン子先輩に意見されると、たびたび考え込んだり、意見を変えたりしている。対話時における燃の迷いは、自らの進むべき道を模索していく『アオイホノオ』に通底するテーマを端的に表している。

 『アオイホノオ』と『燃えよペン』『吼えろペン』の関連を考える上でも、焔燃とトン子さんの対話の関係はうまく作ってある。漫画家になってからの燃もまた先生役をしているのだが、立場の下であるアシスタントを生徒役にしていることが多く、理論よりも勢いで話しているような印象を受ける。
 対話形式という枠は守りつつ、燃の立ち位置を変えることで、シリーズ作としての共通点を出しながらも、漫画家になった後とそれ以前の燃の間に、明確で印象的な差異を産み出している。



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ヤネウラ

Author:ヤネウラ
私ヤネウラがけっこう衝動的に、ゲームとかTRPGとか漫画とか小説とかジョークとか、そういったものについての思いのたけを書きつらねているブログ。好きなジャンルはSF、推理、冒険、恐怖、幻想、神話あたり。コメント、リンク、トラックバックは大歓迎ですよー(でも内容に関係ないのは勘弁な)。

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