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 これは時間旅行の物語だ。
 といっても、タイムマシンは出てこない。時空の歪みも、異次元への穴も、セピア色した過去の情景も、タイムパラドックスもない。
 ただ単に、ひとりの女の子が――文字どおり――時の彼方へ駆けていった。そしてぼくらは彼女を見送った。つまるところ、それだけの話だ。
 だからこそぼくは、ある場所のことから語り始めなくちゃいけない。ぼくらが住んでいた、あの街のことから。

 冒頭の文章より引用
 なお、第一行目の“時間旅行”にはタイムトラベルとルビがふってある


新城カズマのサマー/タイム/トラベラーを読む。

引用した通り、これは“時間旅行の物語”だ。
いや、より正確に言うと“時間旅行についての物語”かな。

話の中でも、時間旅行は重要なファクターなのだが、それと同じくらい時間旅行物語についても重要なのだ。古今東西の時間旅行物の本や映画についての話題が、とにかくたくさん出てくる。

『タイムマシン』、『ゲイルズバーグの春を愛す』、『夏への扉』、『時をかける少女』、『オーロラの彼方へ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、エトセトラ、エトセトラ。

時間旅行物語の登場人物が、時間旅行物語の中で、時間旅行物語を読みふけり討論を重ねることで、「時間旅行物語において最も重要な観念とは何か?」という問いに対しての答えを導き出しつつ、時間旅行物語を紡いでいくところが、この時間旅行物語の面白いところである。

いかにも、蓬莱学園の新城カズマらしい小説である。

物語はこみいった話がこんがらがったまま進み、ついに残りページ数わずかとなった。この状態をこの僅かな枚数でいかに着地させるのだろうかと、私は手に汗握って読み進めた。そして、それは最後の一行で、見事に決着がついた。

そこには、こう書かれていた。(第2巻に続く)、と。

そう!
私が、サマー/タイム/トラベラーだと思っていた本は、実は『サマー/タイム/トラベラー1』だったのだ。

サマー/タイム/トラベラー (1)  ハヤカワ文庫 JA (745) サマー/タイム/トラベラー (1) ハヤカワ文庫 JA (745)
新城 カズマ (2005/06/16)
早川書房

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借りてすぐに結末まで読み切ったので、“1”ってついてるのに、ついぞ気づかなかったわけである。

『サマー/タイム/トラベラー2』があるのは知ってて読んでいたが、それはサマー/タイム/トラベラ-に対して続編としての『サマー/タイム/トラベラー2』であると考えており、『サマー/タイム/トラベラー1』の後編としての『サマー/タイム/トラベラー2』だとは、まったく思わなかったのだ。

読子・リードマン氏の名言に従って、『サマー/タイム/トラベラー2』を一緒に手元に置いていなかったら、私は続きがどうなるか気になってたまらなかったであろう。さすがは、かの偉大なるビブリオマニアの言葉である。ザ・ペーパーの名に誉れあれ。


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ヤネウラ

Author:ヤネウラ
私ヤネウラがけっこう衝動的に、ゲームとかTRPGとか漫画とか小説とかジョークとか、そういったものについての思いのたけを書きつらねているブログ。好きなジャンルはSF、推理、冒険、恐怖、幻想、神話あたり。コメント、リンク、トラックバックは大歓迎ですよー(でも内容に関係ないのは勘弁な)。

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